# この国土形成計画法の翻訳は、平成十七年法律第八十九号までの改正(平成17年12月22日施行)について、「法令用語日英標準対訳辞書」(平成18年3月版)に準拠して作成したものです。なお、この法令の翻訳は公定訳ではありません。法的効力を有するのは日本語の法令自体であり、翻訳はあくまでその理解を助けるための参考資料です。この翻訳の利用に伴って発生した問題について、一切の責任を負いかねますので、法律上の問題に関しては、官報に掲載された日本語の法令を参照してください。 国土形成計画法 (昭和二十五年法律第二百五号)                        最終改正 平成十七年法律第八十九号 目次  第一章 総則(第一条−第三条)  第二章 国土審議会の調査審議等(第四条・第五条)  第三章 国土形成計画の策定(第六条−第十二条)  第四章 国土形成計画の実施(第十三条・第十四条)  第五章 補則(第十五条・第十六条)  附則    第一章 総則 第一条 (目的)  この法律は、国土の自然的条件を考慮して、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から国土の利用、整備及び保全を推進するため、国土形成計画の策定その他の措置を講ずることにより、国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)による措置と相まつて、現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会の実現に寄与することを目的とする。 第二条 (国土形成計画) 1 この法律において「国土形成計画」とは、国土の利用、整備及び保全(以下「国土の形成」という。)を推進するための総合的かつ基本的な計画で、次に掲げる事項に関するものをいう。  一 土地、水その他の国土資源の利用及び保全に関する事項  二 海域の利用及び保全(排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成八年法律第七十四号)第一条第一項の排他的経済水域又は同法第二条の大陸棚における同法第三条第一項第一号から第三号までに規定する行為を含む。)に関する事項  三 震災、水害、風害その他の災害の防除及び軽減に関する事項  四 都市及び農山漁村の規模及び配置の調整並びに整備に関する事項  五 産業の適正な立地に関する事項  六 交通施設、情報通信施設、科学技術に係る研究施設その他の重要な公共的施設の利用、整備及び保全に関する事項  七 文化、厚生及び観光に関する資源の保護並びに施設の利用及び整備に関する事項  八 国土における良好な環境の創出その他の環境の保全及び良好な景観の形成に関する事項 2 前項の国土形成計画は、第六条第二項に規定する全国計画及び第九条第二項に規定する広域地方計画とする。 第三条 (国土形成計画の基本理念) 1 国土形成計画は、我が国及び世界における人口、産業その他の社会経済構造の変化に的確に対応し、その特性に応じて自立的に発展する地域社会、国際競争力の強化及び科学技術の振興等による活力ある経済社会、安全が確保された国民生活並びに地球環境の保全にも寄与する豊かな環境の基盤となる国土を実現するよう、我が国の自然的、経済的、社会的及び文化的諸条件を維持向上させる国土の形成に関する施策を、当該施策に係る国内外の連携の確保に配意しつつ、適切に定めるものとする。 2 国土形成計画は、総合的な国土の形成に関する施策の実施に関し、地方公共団体の主体的な取組を尊重しつつ、全国的な規模で又は全国的な視点に立つて行わなければならない施策の実施その他の国が本来果たすべき役割を踏まえ、国の責務が全うされることとなるよう定めるものとする。    第二章 国土審議会の調査審議等 第四条 (国土審議会の調査審議等) 1 国土審議会は、国土形成計画及びその実施に関し必要な事項について調査審議し、その結果を国土交通大臣に報告し、又は勧告する。 2 国土審議会は、国土形成計画について必要があると認める場合においては、国土交通大臣を通じて、関係各行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。 3 関係各行政機関の長は、その所掌事務に係る基本的な計画で国土形成計画と密接な関係を有するものについて、国土審議会の意見を聴くことができる。 第五条 (要旨の公表)  国土審議会は、この法律の規定により調査審議した結果について必要があると認める場合においては、その要旨を公表するものとする。    第三章 国土形成計画の策定 第六条 (全国計画) 1 国は、総合的な国土の形成に関する施策の指針となるべきものとして、全国の区域について、国土形成計画を定めるものとする。 2 前項の国土形成計画(以下「全国計画」という。)には、次に掲げる事項を定めるものとする。  一 国土の形成に関する基本的な方針  二 国土の形成に関する目標  三 前号の目標を達成するために全国的な見地から必要と認められる基本的な施策に関する事項 3 全国計画は、環境の保全に関する国の基本的な計画との調和が保たれたものでなければならない。 4 国土交通大臣は、全国計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 5 国土交通大臣は、前項の規定により全国計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、環境大臣その他関係行政機関の長に協議し、都道府県及び指定都市(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市をいう。以下同じ。)の意見を聴き、並びに国土審議会の調査審議を経なければならない。 6 国土交通大臣は、全国計画について第四項の閣議の決定があつたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。 7 全国計画は、国土利用計画法第四条の全国の区域について定める国土の利用に関する計画と一体のものとして定めなければならない。 8 第四項から前項までの規定は、全国計画の変更について準用する。 第七条 (全国計画に係る政策の評価) 1 国土交通大臣は、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第六条第一項の基本計画を定めるときは、同条第二項第六号の政策として、全国計画を定めなければならない。 2 国土交通大臣は、前条第六項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定による公表の日から二年を経過した日以後、行政機関が行う政策の評価に関する法律第七条第一項の実施計画を初めて定めるときは、同条第二項第一号の政策として、全国計画を定めなければならない。 第八条 (全国計画に係る提案等) 1 都道府県又は指定都市は、単独で又は共同して、国土交通大臣に対し、当該都道府県又は指定都市の区域内における第二条第一項各号に掲げる事項に関する施策の効果を一層高めるために必要な全国計画の案(全国計画の変更の案を含む。以下この条において同じ。)を作成することを提案することができる。この場合においては、当該提案に係る全国計画の案の素案を添えなければならない。 2 国土交通大臣は、前項の規定による提案(以下この条において「計画提案」という。)が行われたときは、遅滞なく、当該計画提案を踏まえた全国計画の案(計画提案に係る全国計画の案の素案の内容の全部又は一部を実現することとなる全国計画の案をいう。第四項において同じ。)を作成する必要があるかどうかを判断し、当該全国計画の案を作成する必要があると認めるときは、その案を作成しなければならない。 3 国土交通大臣は、当該計画提案を踏まえた全国計画の案(計画提案に係る全国計画の案の素案の内容の一部を実現することとなる全国計画の案をいう。)を作成しようとする場合において、第六条第五項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定により国土審議会における調査審議を経ようとするときは、当該計画提案に係る全国計画の案の素案を提出しなければならない。 4 国土交通大臣は、当該計画提案を踏まえた全国計画の案を作成する必要がないと判断したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を、当該計画提案をした都道府県又は指定都市に通知しなければならない。 5 国土交通大臣は、前項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、国土審議会に当該計画提案に係る全国計画の案の素案を提出してその意見を聴かなければならない。 第九条 (広域地方計画) 1 国土交通大臣は、次に掲げる区域(以下「広域地方計画区域」という。)について、それぞれ国土形成計画を定めるものとする。  一 首都圏(埼玉県、東京都、神奈川県その他政令で定める県の区域を一体とした区域をいう。)  二 近畿圏(京都府、大阪府、兵庫県その他政令で定める県の区域を一体とした区域をいう。)  三 中部圏(愛知県、三重県その他政令で定める県の区域を一体とした区域をいう。)  四 その他自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる二以上の県の区域であつて、一体として総合的な国土の形成を推進する必要があるものとして政令で定める区域 2 前項の国土形成計画(以下「広域地方計画」という。)には、全国計画を基本として、次に掲げる事項を定めるものとする。  一 当該広域地方計画区域における国土の形成に関する方針  二 当該広域地方計画区域における国土の形成に関する目標  三 当該広域地方計画区域における前号の目標を達成するために一の都府県の区域を超える広域の見地から必要と認められる主要な施策(当該広域地方計画区域における総合的な国土の形成を推進するため特に必要があると認められる当該広域地方計画区域外にわたるものを含む。)に関する事項 3 国土交通大臣は、第一項の規定により広域地方計画を定めようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、次条第一項の広域地方計画協議会における協議を経て、関係各行政機関の長に協議しなければならない。 4 国土交通大臣は、広域地方計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。 5 前三項の規定は、広域地方計画の変更について準用する。 第十条 (広域地方計画協議会) 1 広域地方計画及びその実施に関し必要な事項について協議するため、広域地方計画区域ごとに、政令で定めるところにより、国の関係各地方行政機関、関係都府県及び関係指定都市(以下この条において「国の地方行政機関等」という。)により、広域地方計画協議会(以下「協議会」という。)を組織する。 2 協議会は、必要があると認めるときは、協議により、当該広域地方計画区域内の市町村(指定都市を除く。)、当該広域地方計画区域に隣接する地方公共団体その他広域地方計画の実施に密接な関係を有する者を加えることができる。 3 第一項の協議を行うための会議(第六項において「会議」という。)は、次に掲げる者をもつて構成する。  一 国の地方行政機関等の長又はその指名する職員  二 前項の規定により加わつた地方公共団体の長又はその指名する職員  三 前項の規定により加わつた者(地方公共団体を除く。)の代表者又はその指名する者 4 協議会は、必要があると認めるときは、関係各行政機関に対し、資料の提供、意見の表明、説明その他の協力を求めることができる。 5 協議会は、前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による協議を行う場合においては、学識経験を有する者の意見を聴くものとする。 6 会議において協議が調つた事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。 7 協議会の庶務は、国土交通省において処理する。 8 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。 第十一条 (広域地方計画に係る提案等) 1 広域地方計画区域内の市町村(協議会の構成員である市町村を除く。)は、単独で又は共同して、国土交通大臣に対し、国土交通省令で定めるところにより、都府県を経由して、当該市町村の区域内における第二条第一項各号に掲げる事項に関する施策の効果を一層高めるために必要な広域地方計画の策定又は変更をすることを提案することができる。この場合においては、当該提案に係る広域地方計画の素案を添えなければならない。 2 国土交通大臣は、前項の規定による提案(以下この条において「計画提案」という。)が行われたときは、遅滞なく、当該計画提案を踏まえた広域地方計画の策定又は変更(計画提案に係る広域地方計画の素案の内容の全部又は一部を実現することとなる広域地方計画の策定又は変更をいう。第四項において同じ。)をする必要があるかどうかを判断し、当該広域地方計画の策定又は変更をする必要があると認めるときは、その案を作成しなければならない。 3 国土交通大臣は、当該計画提案を踏まえた広域地方計画の策定又は変更(計画提案に係る広域地方計画の素案の内容の一部を実現することとなる広域地方計画の策定又は変更をいう。)をしようとする場合において、第九条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により協議会における協議を経ようとするときは、当該計画提案に係る広域地方計画の素案を提出しなければならない。 4 国土交通大臣は、当該計画提案を踏まえた広域地方計画の策定又は変更をする必要がないと判断したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を、当該計画提案をした市町村に通知しなければならない。 5 国土交通大臣は、前項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、協議会に当該計画提案に係る広域地方計画の素案を提出してその意見を聴かなければならない。 第十二条 (調査の調整) 1 国土交通大臣は、関係各行政機関の長が国土形成計画に関して行う調査について必要な調整を行い、当該各行政機関の長に対し、調査の結果について報告を求めることができる。 2 国土交通大臣は、前項の規定による調整を行う場合において、必要があると認めるときは、関係各行政機関の長の意見を聴いて、特に調査すべき地域を指定することができる。    第四章 国土形成計画の実施 第十三条 (広域地方計画に関する調整) 1 広域地方計画が定められた広域地方計画区域内の都府県又は市町村は、当該広域地方計画を実施する上で必要があると認める場合においては、単独で又は共同して、国土交通大臣に対し、関係各行政機関の事務の調整を行うことを要請することができる。 2 国土交通大臣は、前項の規定による要請があつた場合において、必要があると認めるときは、国土審議会の意見を聴いて、必要な調整を行うものとする。 第十四条 (国土形成計画の実施に関する勧告)  国土交通大臣は、国土形成計画の実施について調整を行うため必要があると認める場合においては、関係各行政機関の長に対し、必要な勧告をすることができる。    第五章 補則 第十五条 (沖縄振興計画との調整)  沖縄振興計画と国土形成計画との調整は、国土交通大臣が内閣総理大臣と国土審議会の意見を聴いて行うものとする。 第十六条 (政令への委任)  この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。   附 則 〔抄〕 1 この法律は、昭和二十五年六月一日から施行する。    附 則 (平成十七年法律第八十九号) 〔抄〕 第一条 (施行期日等) 1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、次項及び附則第二十七条の規定は、公布の日から施行する。 2 第一条の規定による改正後の国土形成計画法(以下単に「国土形成計画法」という。)第六条第四項の規定による全国計画の案の作成については、国土審議会は、この法律の施行前においても調査審議することができる。 3 国土形成計画法第六条第一項の規定により国土形成計画が定められるまでの間においては、国土形成計画法第九条から第十一条まで及び第十三条の規定は、適用しない。 第二条 (国土形成計画法の一部改正に伴う経過措置) 1 施行日以後国土形成計画法第六条第一項の規定により国土形成計画が定められるまでの間においては、この法律の施行の際現に第一条の規定による改正前の国土総合開発法第七条第一項の規定により作成されている全国総合開発計画を国土形成計画第六条第一項の規定により定められた国土形成計画とみなす。 2 前項の規定により国土形成計画法第六条第一項の規定により定められた国土形成計画とみなされる全国総合開発計画については、国土形成計画法第七条及び第八条の規定は、適用しない。 第二十七条 (政令への委任)  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。