# この更生保護法(平成20年6月1日施行)の翻訳は、「法令用語日英標準対訳辞書(平成20年3月版)」に準拠して作成したものです。なお、この法令の翻訳は公定訳ではありません。法的効力を有するのは日本語の法令自体であり、翻訳はあくまでその理解を助けるための参考資料です。この翻訳の利用に伴って発生した問題について、一切の責任を負いかねますので、法律上の問題に関しては、官報に掲載された日本語の法令を参照してください。 更生保護法(平成十九年六月十五日法律第八十八号) 目次 第一章 総則 第一節 目的等(第一条―第三条) 第二節 中央更生保護審査会(第四条―第十五条) 第三節 地方更生保護委員会(第十六条―第二十八条) 第四節 保護観察所(第二十九条・第三十条) 第五節 保護観察官及び保護司(第三十一条・第三十二条) 第二章 仮釈放等 第一節 仮釈放及び仮出場(第三十三条―第四十条) 第二節 少年院からの仮退院(第四十一条・第四十二条) 第三節 収容中の者の不定期刑の終了(第四十三条―第四十五条) 第四節 収容中の者の退院(第四十六条・第四十七条) 第三章 保護観察 第一節 通則(第四十八条―第六十五条) 第二節 保護観察処分少年(第六十六条―第七十条) 第三節 少年院仮退院者(第七十一条―第七十四条) 第四節 仮釈放者(第七十五条―第七十八条) 第五節 保護観察付執行猶予者(第七十九条―第八十一条) 第四章 生活環境の調整(第八十二条―第八十四条) 第五章 更生緊急保護等 第一節 更生緊急保護(第八十五条―第八十七条) 第二節 刑執行停止中の者に対する措置(第八十八条) 第六章 恩赦の申出(第八十九条・第九十条) 第七章 審査請求等 第一節 行政手続法の適用除外(第九十一条) 第二節 審査請求(第九十二条―第九十六条) 第八章 雑則(第九十七条―第九十九条) 附則    第一章 総則     第一節 目的等 第一条 (目的)  この法律は、犯罪をした者及び非行のある少年に対し、社会内において適切な処遇を行うことにより、再び犯罪をすることを防ぎ、又はその非行をなくし、これらの者が善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助けるとともに、恩赦の適正な運用を図るほか、犯罪予防の活動の促進等を行い、もって、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進することを目的とする。 第二条 (国の責務等) 1 国は、前条の目的の実現に資する活動であって民間の団体又は個人により自発的に行われるものを促進し、これらの者と連携協力するとともに、更生保護に対する国民の理解を深め、かつ、その協力を得るように努めなければならない。 2 地方公共団体は、前項の活動が地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与するものであることにかんがみ、これに対して必要な協力をすることができる。 3 国民は、前条の目的を達成するため、その地位と能力に応じた寄与をするように努めなければならない。 第三条 (運用の基準)  犯罪をした者又は非行のある少年に対してこの法律の規定によりとる措置は、当該措置を受ける者の性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係等を十分に考慮して、その者に最もふさわしい方法により、その改善更生のために必要かつ相当な限度において行うものとする。     第二節 中央更生保護審査会 第四条 (設置及び所掌事務) 1 法務省に、中央更生保護審査会(以下「審査会」という。)を置く。 2 審査会は、次に掲げる事務をつかさどる。  一 特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除又は特定の者に対する復権の実施についての申出をすること。  二 地方更生保護委員会がした決定について、この法律及び行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)の定めるところにより、審査を行い、裁決をすること。  三 前二号に掲げるもののほか、この法律又は他の法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。 第五条 (審査会の組織)  審査会は、委員長及び委員四人をもって組織する。 第六条 (委員長及び委員の任命) 1 委員長及び委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、法務大臣が任命する。 2 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、法務大臣は、前項の規定にかかわらず、委員長又は委員を任命することができる。 3 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、法務大臣は、その委員長又は委員を罷免しなければならない。 4 委員長及び委員の任命については、そのうち三人以上が同一の政党に属する者となることとなってはならない。 第七条 (委員長及び委員の任期)  委員長及び委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。 第八条 (委員長及び委員の服務等) 1 委員のうち二人は、非常勤とする。 2 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。 3 委員長及び常勤の委員は、在任中、法務大臣の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。 4 委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。 第九条 (委員長及び委員の罷免) 1 法務大臣は、委員長又は委員が破産手続開始の決定を受け、又は禁錮以上の刑に処せられたときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。 2 法務大臣は、委員長若しくは委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員長若しくは委員に職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるにふさわしくない非行があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員長又は委員を罷免することができる。 3 法務大臣は、委員長及び委員のうち三人以上が同一の政党に属することとなったときは、同一の政党に属する者が二人になるように、両議院の同意を得て、委員長又は委員を罷免するものとする。 4 前項の規定は、政党所属関係に異動のなかった委員長又は委員の地位に影響を及ぼすものではない。 第十条 (委員長) 1 委員長は、会務を総理し、審査会を代表する。 2 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長が定める順序により、常勤の委員が委員長の職務を行う。 第十一条 (会議等) 1 審査会は、委員長が招集する。 2 審査会は、委員長及び半数以上の委員の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。 3 審査会の議事は、出席者の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。 4 審査会がその権能として行う調査又は第四条第二項第二号に規定する審査のための審理は、審査会の指名により、委員長又は一人の委員で行うことができる。 5 委員長に事故がある場合における第二項の規定の適用については、前条第二項の規定により委員長の職務を行う常勤の委員は、委員長とみなす。 第十二条 (審問) 1 審査会は、その所掌事務に属する事項の調査において、必要があると認めるときは、法務省令で定めるところにより、関係人を呼び出し、審問することができる。 2 前項の規定による呼出しに応じないため再度同項の規定による呼出しを受けた者が、正当な理由がないのにこれに応じないときは、十万円以下の過料に処する。 3 第一項の規定による呼出しに応じた者に対しては、政令で定めるところにより、旅費、日当及び宿泊料を支給する。ただし、正当な理由がないのに陳述を拒んだ者に対しては、この限りでない。 第十三条 (記録等の提出の求め)  審査会は、その所掌事務に属する事項の調査において、必要があると認めるときは、裁判所、検察官、刑事施設の長、少年院の長、婦人補導院の長、地方更生保護委員会及び保護観察所の長に対し、記録、書類、意見書及び報告書の提出を求めることができる。 第十四条 (協力の求め)  審査会は、その所掌事務を遂行するため、官公署、学校、病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者に対し、必要な協力を求めることができる。 第十五条 (政令への委任)  第四条から第十一条までに規定するもののほか、審査会の組織に関し必要な事項は、政令で定める。     第三節 地方更生保護委員会 第十六条 (所掌事務)  地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という。)は、次に掲げる事務をつかさどる。  一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十八条の行政官庁として、仮釈放を許し、又はその処分を取り消すこと。  二 刑法第三十条の行政官庁として、仮出場を許すこと。  三 少年院からの仮退院又は退院を許すこと。  四 少年院からの仮退院中の者について、少年院に戻して収容する旨の決定の申請をすること。  五 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十二条第一項及び第二項の規定により言い渡された刑(以下「不定期刑」という。)について、その執行を受け終わったものとする処分をすること。  六 刑法第二十五条の二第二項の行政官庁として、保護観察を仮に解除し、又はその処分を取り消すこと。  七 婦人補導院からの仮退院を許し、又はその処分を取り消すこと。  八 保護観察所の事務を監督すること。  九 前各号に掲げるもののほか、この法律又は他の法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。 第十七条 (地方委員会の組織)  地方委員会は、三人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織する。 第十八条 (委員の任期)  委員の任期は、三年とする。 第十九条 (委員長) 1 地方委員会に、委員長を置く。委員長は、委員のうちから法務大臣が命ずる。 2 委員長は、会務を総理し、その地方委員会を代表する。 3 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長が定める順序により、他の委員が委員長の職務を行う。 第二十条 (事務局) 1 地方委員会に、事務局を置く。 2 事務局の内部組織は、法務省令で定める。 第二十一条 (委員会議) 1 地方委員会の所掌事務の処理は、第二十三条第一項の規定により三人の委員をもって構成する合議体で権限を行う場合その他法令に特別の定めがある場合を除き、委員の全員をもって構成する会議の議決による。 2 前項の会議は、委員長が招集する。 3 第一項の会議は、委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。 4 第一項の会議の議事は、出席者の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。ただし、五人未満の委員をもって組織される地方委員会において、出席者が二人であるときは、その意見の一致したところによる。 第二十二条 (記録等の提出の求めに関する規定の準用)  第十三条の規定は、前条第一項の会議の調査について準用する。この場合において、第十三条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。 第二十三条 (合議体) 1 地方委員会は、次に掲げる事項については、三人の委員をもって構成する合議体で、その権限を行う。  一 この法律又は他の法律の規定により決定をもってすることとされている処分  二 第三十五条第一項(第四十二条及び売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定による審理の開始に係る判断  三 第三十九条第四項(第四十二条及び売春防止法第二十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定による審理の再開に係る判断  四 第七十一条の規定による申請 2 前項の合議体の議事は、その構成員の過半数で決する。 3 第一項の合議体がその権能として行う調査は、その構成員である委員又は保護観察官をして行わせることができる。 第二十四条 (合議体による審理)  前条第一項の合議体は、同項第一号に掲げる処分又は同項第四号に掲げる申請をするか否かを判断するには、審理を行わなければならない。 第二十五条 (審理における調査) 1 第二十三条第一項の合議体は、前条の審理において必要があると認めるときは、審理の対象とされている者(以下「審理対象者」という。)との面接、関係人に対する質問その他の方法により、調査を行うことができる。 2 前項の調査を行う者は、その事務所以外の場所において当該調査を行う場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。 3 第十二条及び第十三条の規定は、第一項の調査について準用する。この場合において、同条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。 4 前項において準用する第十二条第一項の規定による呼出し及び審問は、第二十三条第三項の規定にかかわらず、保護観察官をして行わせることができない。 第二十六条 (決定書)  第二十三条第一項の合議体の決定は、決定書を作成してしなければならない。 第二十七条 (決定の告知) 1 前条の決定は、当該決定の対象とされた者に対し、これを告知することによって、その効力を生ずる。 2 前項の決定の告知は、その対象とされた者に対して当該決定を言い渡し、又は相当と認める方法により決定書の謄本をその者に送付して、行うものとする。ただし、急速を要するときは、法務省令で定める方法によることができる。 3 第一項の決定の対象とされた者が刑事施設に収容され、若しくは労役場に留置されている場合又は少年院若しくは婦人補導院に収容されている場合において、決定書の謄本を当該刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設)の長、少年院の長又は婦人補導院の長に送付したときは、当該決定の対象とされた者に対する送付があったものとみなす。 4 決定書の謄本を、第一項の決定の対象とされた者が第五十条第四号(売春防止法第二十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定により居住すべき住居(第五十一条第二項第五号(同法第二十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定により宿泊すべき特定の場所が定められている場合には、当該場所)にあてて、書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして法務大臣が定めるものに付して発送した場合においては、その発送の日から五日を経過した日に当該決定の対象とされた者に対する送付があったものとみなす。 第二十八条 (協力の求めに関する規定の準用)  第十四条の規定は、地方委員会について準用する。     第四節 保護観察所 第二十九条 (所掌事務)  保護観察所は、次に掲げる事務をつかさどる。  一 この法律及び売春防止法の定めるところにより、保護観察を実施すること。  二 犯罪の予防を図るため、世論を啓発し、社会環境の改善に努め、及び地域住民の活動を促進すること。  三 前二号に掲げるもののほか、この法律その他の法令によりその権限に属させられた事項を処理すること。 第三十条 (協力等の求め)  保護観察所の長は、その所掌事務を遂行するため、官公署、学校、病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者に対し、必要な援助及び協力を求めることができる。     第五節 保護観察官及び保護司 第三十一条 (保護観察官) 1 地方委員会の事務局及び保護観察所に、保護観察官を置く。 2 保護観察官は、医学、心理学、教育学、社会学その他の更生保護に関する専門的知識に基づき、保護観察、調査、生活環境の調整その他犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に関する事務に従事する。 第三十二条 (保護司)  保護司は、保護観察官で十分でないところを補い、地方委員会又は保護観察所の長の指揮監督を受けて、保護司法(昭和二十五年法律第二百四号)の定めるところに従い、それぞれ地方委員会又は保護観察所の所掌事務に従事するものとする。    第二章 仮釈放等     第一節 仮釈放及び仮出場 第三十三条 (法定期間経過の通告)  刑事施設の長又は少年院の長は、懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について、刑法第二十八条又は少年法第五十八条第一項に規定する期間が経過したときは、その旨を地方委員会に通告しなければならない。 第三十四条 (仮釈放及び仮出場の申出) 1 刑事施設の長又は少年院の長は、懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について、前条の期間が経過し、かつ、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮釈放を許すべき旨の申出をしなければならない。 2 刑事施設の長は、拘留の刑の執行のため収容している者又は労役場に留置している者について、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮出場を許すべき旨の申出をしなければならない。 第三十五条 (申出によらない審理の開始等) 1 地方委員会は、前条の申出がない場合であっても、必要があると認めるときは、仮釈放又は仮出場を許すか否かに関する審理を開始することができる。 2 地方委員会は、前項の規定により審理を開始するに当たっては、あらかじめ、審理の対象となるべき者が収容されている刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設)の長又は少年院の長の意見を聴かなければならない。 第三十六条 1 地方委員会は、前条第一項の規定により審理を開始するか否かを判断するため必要があると認めるときは、審理の対象となるべき者との面接、関係人に対する質問その他の方法により、調査を行うことができる。 2 前項の調査を行うに当たっては、審理の対象となるべき者が収容されている刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設)又は少年院の職員から参考となる事項について聴取し、及びこれらの者に面接への立会いその他の協力を求めることができる。 3 第十三条及び第二十五条第二項の規定は、第一項の調査について準用する。この場合において、第十三条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。 第三十七条 (仮釈放の審理における委員による面接等) 1 地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理においては、その構成員である委員をして、審理対象者と面接させなければならない。ただし、その者の重い疾病若しくは傷害により面接を行うことが困難であると認められるとき又は法務省令で定める場合であって面接の必要がないと認められるときは、この限りでない。 2 地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理において必要があると認めるときは、審理対象者について、保護観察所の長に対し、事項を定めて、第八十二条の規定による生活環境の調整を行うことを求めることができる。 3 前条第二項の規定は、仮釈放を許すか否かに関する審理における調査について準用する。 第三十八条 (被害者等の意見等の聴取) 1 地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理を行うに当たり、法務省令で定めるところにより、被害者等(審理対象者が刑を言い渡される理由となった犯罪により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。次項において同じ。)から、審理対象者の仮釈放に関する意見及び被害に関する心情(以下この条において「意見等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、当該意見等を聴取するものとする。ただし、当該被害に係る事件の性質、審理の状況その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。 2 地方委員会は、被害者等の居住地を管轄する保護観察所の長に対し、前項の申出の受理に関する事務及び同項の意見等の聴取を円滑に実施するための事務を嘱託することができる。 第三十九条 (仮釈放及び仮出場を許す処分) 1 刑法第二十八条の規定による仮釈放を許す処分及び同法第三十条の規定による仮出場を許す処分は、地方委員会の決定をもってするものとする。 2 地方委員会は、仮釈放又は仮出場を許す処分をするに当たっては、釈放すべき日を定めなければならない。 3 地方委員会は、仮釈放を許す処分をするに当たっては、第五十一条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定める場合その他特別の事情がある場合を除き、第八十二条の規定による住居の調整の結果に基づき、仮釈放を許される者が居住すべき住居を特定するものとする。 4 地方委員会は、第一項の決定をした場合において、当該決定を受けた者について、その釈放までの間に、刑事施設の規律及び秩序を害する行為をしたこと、予定されていた釈放後の住居、就業先その他の生活環境に著しい変化が生じたことその他その釈放が相当でないと認められる特別の事情が生じたと認めるときは、仮釈放又は仮出場を許すか否かに関する審理を再開しなければならない。この場合においては、当該決定は、その効力を失う。 5 第三十六条の規定は、前項の規定による審理の再開に係る判断について準用する。 第四十条 (仮釈放中の保護観察)  仮釈放を許された者は、仮釈放の期間中、保護観察に付する。     第二節 少年院からの仮退院 第四十一条 (仮退院を許す処分)  地方委員会は、保護処分の執行のため少年院に収容されている者について、処遇の最高段階に達し、仮に退院させることが改善更生のために相当であると認めるとき、その他仮に退院させることが改善更生のために特に必要であると認めるときは、決定をもって、仮退院を許すものとする。 第四十二条 (準用)  第三十五条から第三十八条まで、第三十九条第二項から第五項まで及び第四十条の規定は、少年院からの仮退院について準用する。この場合において、第三十五条第一項中「前条」とあるのは「少年院法(昭和二十三年法律第百六十九号)第十二条第二項」と、第三十八条第一項中「刑」とあるのは「保護処分」と、「犯罪」とあるのは「犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為」と読み替えるものとする。     第三節 収容中の者の不定期刑の終了 第四十三条 (刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了の申出)  刑事施設の長又は少年院の長は、不定期刑の執行のため収容している者について、その刑の短期が経過し、かつ、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、地方委員会に対し、刑の執行を受け終わったものとすべき旨の申出をしなければならない。 第四十四条 (刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了の処分) 1 地方委員会は、前条に規定する者について、同条の申出があった場合において、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、決定をもって、刑の執行を受け終わったものとしなければならない。 2 地方委員会は、前項の決定をしたときは、速やかに、その対象とされた者が収容されている刑事施設の長又は少年院の長に対し、その旨を書面で通知するとともに、当該決定を受けた者に対し、当該決定をした旨の証明書を交付しなければならない。 3 第一項の決定の対象とされた者の刑期は、前項の通知が刑事施設又は少年院に到達した日に終了するものとする。 第四十五条 (準用)  第三十七条の規定は、前条第一項の決定をするか否かに関する審理について準用する。     第四節 収容中の者の退院 第四十六条 (少年院に収容中の者の退院を許す処分) 1 地方委員会は、保護処分の執行のため少年院に収容されている者について、少年院の長の申出があった場合において、退院を相当と認めるとき(二十三歳を超えて少年院に収容されている者については、少年院法(昭和二十三年法律第百六十九号)第十一条第五項に規定する事由に該当しなくなったと認めるときその他退院を相当と認めるとき)は、決定をもって、これを許さなければならない。 2 地方委員会は、前項の決定をしたときは、当該決定を受けた者に対し、当該決定をした旨の証明書を交付しなければならない。 第四十七条 (準用)  第三十七条の規定は、前条第一項の決定をするか否かに関する審理について準用する。    第三章 保護観察     第一節 通則 第四十八条 (保護観察の対象者)  次に掲げる者(以下「保護観察対象者」という。)に対する保護観察の実施については、この章の定めるところによる。  一 少年法第二十四条第一項第一号の保護処分に付されている者(以下「保護観察処分少年」という。)  二 少年院からの仮退院を許されて第四十二条において準用する第四十条の規定により保護観察に付されている者(以下「少年院仮退院者」という。)  三 仮釈放を許されて第四十条の規定により保護観察に付されている者(以下「仮釈放者」という。)  四 刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付されている者(以下「保護観察付執行猶予者」という。) 第四十九条 (保護観察の実施方法) 1 保護観察は、保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として、第五十七条に規定する指導監督及び第五十八条に規定する補導援護を行うことにより実施するものとする。 2 保護観察処分少年又は少年院仮退院者に対する保護観察は、保護処分の趣旨を踏まえ、その者の健全な育成を期して実施しなければならない。 第五十条 (一般遵守事項)  保護観察対象者は、次に掲げる事項(以下「一般遵守事項」という。)を遵守しなければならない。  一 再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること。  二 次に掲げる事項を守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受けること。   イ 保護観察官又は保護司の呼出し又は訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受けること。   ロ 保護観察官又は保護司から、労働又は通学の状況、収入又は支出の状況、家庭環境、交友関係その他の生活の実態を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はこれに関する資料を提示すること。  三 保護観察に付されたときは、速やかに、住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にその届出をすること(第三十九条第三項(第四十二条において準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定により住居を特定された場合及び次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く。)。  四 前号の届出に係る住居(第三十九条第三項の規定により住居を特定された場合には当該住居、次号の転居の許可を受けた場合には当該許可に係る住居)に居住すること(次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く。)。  五 転居又は七日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けること。 第五十一条 (特別遵守事項) 1 保護観察対象者は、一般遵守事項のほか、遵守すべき特別の事項(以下「特別遵守事項」という。)が定められたときは、これを遵守しなければならない。 2 特別遵守事項は、次条の定めるところにより、これに違反した場合に第七十二条第一項、刑法第二十六条の二及び第二十九条第一項並びに少年法第二十六条の四第一項に規定する処分がされることがあることを踏まえ、次に掲げる事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定めるものとする。  一 犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。  二 労働に従事すること、通学することその他の再び犯罪をすることがなく又は非行のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し、又は継続すること。  三 七日未満の旅行、離職、身分関係の異動その他の指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について、緊急の場合を除き、あらかじめ、保護観察官又は保護司に申告すること。  四 医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受けること。  五 法務大臣が指定する施設、保護観察対象者を監護すべき者の居宅その他の改善更生のために適当と認められる特定の場所であって、宿泊の用に供されるものに一定の期間宿泊して指導監督を受けること。  六 その他指導監督を行うため特に必要な事項 第五十二条 (特別遵守事項の設定及び変更) 1 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、法務省令で定めるところにより、少年法第二十四条第一項第一号の保護処分をした家庭裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。これを変更するときも、同様とする。 2 地方委員会は、少年院仮退院者又は仮釈放者について、保護観察所の長の申出により、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項を定めることができる。保護観察所の長の申出により、これを変更するときも、同様とする。 3 前項の場合において、少年院からの仮退院又は仮釈放を許す旨の決定による釈放の時までに特別遵守事項を定め、又は変更するときは、保護観察所の長の申出を要しないものとする。 4 保護観察所の長は、保護観察付執行猶予者について、その保護観察の開始に際し、法務省令で定めるところにより、刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しをした裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。 5 保護観察所の長は、前項の場合のほか、保護観察付執行猶予者について、法務省令で定めるところにより、当該保護観察所の所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所に対し、定めようとする又は変更しようとする特別遵守事項の内容を示すとともに、必要な資料を提示して、その意見を聴いた上、特別遵守事項を定め、又は変更することができる。ただし、当該裁判所が不相当とする旨の意見を述べたものについては、この限りでない。 第五十三条 (特別遵守事項の取消し) 1 保護観察所の長は、保護観察処分少年又は保護観察付執行猶予者について定められている特別遵守事項につき、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、これを取り消すものとする。 2 地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者又は仮釈放者について定められている特別遵守事項につき、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、決定をもって、これを取り消すものとする。 3 前条第三項の規定は、前項の規定により特別遵守事項を取り消す場合について準用する。 第五十四条 (一般遵守事項の通知) 1 保護観察所の長は、少年法第二十四条第一項第一号の保護処分があったとき又は刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しがあったときは、法務省令で定めるところにより、保護観察処分少年又は保護観察付執行猶予者に対し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。 2 刑事施設の長又は少年院の長は、第三十九条第一項又は第四十一条の決定により、懲役若しくは禁錮の刑又は保護処分の執行のため収容している者を釈放するときは、法務省令で定めるところにより、その者に対し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。 第五十五条 (特別遵守事項の通知) 1 保護観察所の長は、保護観察対象者について、特別遵守事項が定められ、又は変更されたときは、法務省令で定めるところにより、当該保護観察対象者に対し、当該特別遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。ただし、次項に規定する場合については、この限りでない。 2 刑事施設の長又は少年院の長は、懲役若しくは禁錮の刑又は保護処分の執行のため収容している者について、第三十九条第一項又は第四十一条の決定による釈放の時までに特別遵守事項が定められたときは、法務省令で定めるところにより、その釈放の時に当該特別遵守事項(釈放の時までに変更された場合には、変更後のもの)の内容を記載した書面を交付しなければならない。ただし、その釈放の時までに当該特別遵守事項が取り消されたときは、この限りでない。 第五十六条 (生活行動指針) 1 保護観察所の長は、保護観察対象者について、保護観察における指導監督を適切に行うため必要があると認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該保護観察対象者の改善更生に資する生活又は行動の指針(以下「生活行動指針」という。)を定めることができる。 2 保護観察所の長は、前項の規定により生活行動指針を定めたときは、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者に対し、当該生活行動指針の内容を記載した書面を交付しなければならない。 3 保護観察対象者は、第一項の規定により生活行動指針が定められたときは、これに即して生活し、及び行動するよう努めなければならない。 第五十七条 (指導監督の方法) 1 保護観察における指導監督は、次に掲げる方法によって行うものとする。  一 面接その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち、その行状を把握すること。  二 保護観察対象者が一般遵守事項及び特別遵守事項(以下「遵守事項」という。)を遵守し、並びに生活行動指針に即して生活し、及び行動するよう、必要な指示その他の措置をとること。  三 特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。 2 保護観察所の長は、前項の指導監督を適切に行うため特に必要があると認めるときは、保護観察対象者に対し、当該指導監督に適した宿泊場所を供与することができる。 第五十八条 (補導援護の方法)  保護観察における補導援護は、保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにするため、その自助の責任を踏まえつつ、次に掲げる方法によって行うものとする。  一 適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。  二 医療及び療養を受けることを助けること。  三 職業を補導し、及び就職を助けること。  四 教養訓練の手段を得ることを助けること。  五 生活環境を改善し、及び調整すること。  六 社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。  七 前各号に掲げるもののほか、保護観察対象者が健全な社会生活を営むために必要な助言その他の措置をとること。 第五十九条 (保護者に対する措置)  保護観察所の長は、必要があると認めるときは、保護観察に付されている少年(少年法第二条第一項に規定する少年であって、保護観察処分少年又は少年院仮退院者に限る。)の保護者(同条第二項に規定する保護者をいう。)に対し、その少年の監護に関する責任を自覚させ、その改善更生に資するため、指導、助言その他の適当な措置をとることができる。 第六十条 (保護観察の管轄)  保護観察は、保護観察対象者の居住地(住居がないか、又は明らかでないときは、現在地又は明らかである最後の居住地若しくは所在地)を管轄する保護観察所がつかさどる。 第六十一条 (保護観察の実施者) 1 保護観察における指導監督及び補導援護は、保護観察対象者の特性、とるべき措置の内容その他の事情を勘案し、保護観察官又は保護司をして行わせるものとする。 2 前項の補導援護は、保護観察対象者の改善更生を図るため有効かつ適切であると認められる場合には、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うことができる。 第六十二条 (応急の救護) 1 保護観察所の長は、保護観察対象者が、適切な医療、食事、住居その他の健全な社会生活を営むために必要な手段を得ることができないため、その改善更生が妨げられるおそれがある場合には、当該保護観察対象者が公共の衛生福祉に関する機関その他の機関からその目的の範囲内で必要な応急の救護を得られるよう、これを援護しなければならない。 2 前項の規定による援護によっては必要な応急の救護が得られない場合には、保護観察所の長は、予算の範囲内で、自らその救護を行うものとする。 3 前項の救護は、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うことができる。 4 保護観察所の長は、第一項又は第二項の規定による措置をとるに当たっては、保護観察対象者の自助の責任の自覚を損なわないよう配慮しなければならない。 第六十三条 (出頭の命令及び引致) 1 地方委員会又は保護観察所の長は、その職務を行うため必要があると認めるときは、保護観察対象者に対し、出頭を命ずることができる。 2 保護観察所の長は、保護観察対象者について、次の各号のいずれかに該当すると認める場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該保護観察対象者を引致することができる。  一 正当な理由がないのに、第五十条第四号に規定する住居に居住しないとき(第五十一条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合には、当該場所に宿泊しないとき)。  二 遵守事項を遵守しなかったことを疑うに足りる十分な理由があり、かつ、正当な理由がないのに、前項の規定による出頭の命令に応ぜず、又は応じないおそれがあるとき。 3 地方委員会は、少年院仮退院者又は仮釈放者について、前項各号のいずれかに該当すると認める場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該少年院仮退院者又は仮釈放者を引致することができる。 4 第二項の引致状は保護観察所の長の請求により、前項の引致状は地方委員会の請求により、その所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官が発する。 5 第二項又は第三項の引致状は、判事補が一人で発することができる。 6 第二項又は第三項の引致状は、保護観察官に執行させるものとする。ただし、保護観察官に執行させることが困難であるときは、警察官にその執行を嘱託することができる。 7 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第六十四条、第七十三条第一項前段及び第三項、第七十四条並びに第七十六条第一項本文及び第二項の規定(勾引に関する部分に限る。)は、第二項又は第三項の引致状及びこれらの規定による保護観察対象者の引致について準用する。この場合において、同法第六十四条第一項中「罪名、公訴事実の要旨」とあり、同法第七十三条第三項中「公訴事実の要旨」とあり、及び同法第七十六条第一項本文中「公訴事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨並びに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨」とあるのは「引致の理由」と、同法第六十四条第一項中「裁判長又は受命裁判官」とあるのは「裁判官」と、同法第七十四条中「刑事施設」とあるのは「刑事施設又は少年鑑別所」と、同法第七十六条第二項中「合議体の構成員又は裁判所書記」とあるのは「地方更生保護委員会が引致した場合においては委員又は保護観察官、保護観察所の長が引致した場合においては保護観察官」と読み替えるものとする。 8 第二項又は第三項の引致状により引致された者については、引致すべき場所に引致された時から二十四時間以内に釈放しなければならない。ただし、その時間内に第七十三条第一項、第七十六条第一項又は第八十条第一項の規定によりその者が留置されたときは、この限りでない。 9 地方委員会が行う第一項の規定による命令、第三項の規定による引致に係る判断及び前項本文の規定による釈放に係る判断は、三人の委員をもって構成する合議体(第七十一条の規定による申請、第七十五条第一項の決定又は第八十一条第五項の規定による決定をするか否かに関する審理の開始後においては、当該審理を担当する合議体)で行う。ただし、前項本文の規定による釈放に係る地方委員会の判断については、急速を要するときは、あらかじめ地方委員会が指名する一人の委員で行うことができる。 10 第十三条、第二十三条第三項並びに第二十五条第一項及び第二項の規定は前項に規定する措置のための合議体又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は前項の合議体の議事について、それぞれ準用する。この場合において、第十三条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。 第六十四条 (保護観察のための調査) 1 保護観察所の長は、保護観察のための調査において、必要があると認めるときは、関係人に対し、質問をし、及び資料の提示を求めることができる。 2 前項の規定による質問及び資料の提示の求めは、保護観察官又は保護司をして行わせるものとする。 3 第二十五条第二項の規定は、第一項の規定による質問及び資料の提示の求めについて準用する。 第六十五条 (被害者等の心情等の伝達) 1 保護観察所の長は、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者について、被害者等(当該保護観察対象者が刑若しくは保護処分を言い渡される理由となった犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下この条において同じ。)から、被害に関する心情、被害者等の置かれている状況又は保護観察対象者の生活若しくは行動に関する意見(以下この条において「心情等」という。)の伝達の申出があったときは、当該心情等を聴取し、当該保護観察対象者に伝達するものとする。ただし、その伝達をすることが当該保護観察対象者の改善更生を妨げるおそれがあり、又は当該被害に係る事件の性質、保護観察の実施状況その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。 2 保護観察所の長は、被害者等の居住地を管轄する他の保護観察所の長に対し、前項の申出の受理及び心情等の聴取に関する事務を嘱託することができる。この場合において、同項ただし書の規定により当該保護観察所の長が心情等の伝達をしないこととするときは、あらかじめ、当該他の保護観察所の長の意見を聴かなければならない。     第二節 保護観察処分少年 第六十六条 (少年法第二十四条第一項第一号の保護処分の期間)  保護観察処分少年に対する保護観察の期間は、当該保護観察処分少年が二十歳に達するまで(その期間が二年に満たない場合には、二年)とする。ただし、第六十八条第三項の規定により保護観察の期間が定められたときは、当該期間とする。 第六十七条 (警告及び少年法第二十六条の四第一項の決定の申請) 1 保護観察所の長は、保護観察処分少年が、遵守事項を遵守しなかったと認めるときは、当該保護観察処分少年に対し、これを遵守するよう警告を発することができる。 2 保護観察所の長は、前項の警告を受けた保護観察処分少年が、なお遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときは、少年法第二十六条の四第一項の決定の申請をすることができる。 第六十八条 (家庭裁判所への通告等) 1 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、新たに少年法第三条第一項第三号に掲げる事由があると認めるときは、家庭裁判所に通告することができる。 2 前項の規定による通告があった場合において、当該通告に係る保護観察処分少年が二十歳以上であるときは、これを少年法第二条第一項の少年とみなして、同法第二章の規定を適用する。 3 家庭裁判所は、前項の規定により少年法第二条第一項の少年とみなされる保護観察処分少年に対して同法第二十四条第一項第一号又は第三号の保護処分をするときは、保護処分の決定と同時に、その者が二十三歳を超えない期間内において、保護観察の期間又は少年院に収容する期間を定めなければならない。 第六十九条 (保護観察の解除)  保護観察所の長は、保護観察処分少年について、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときは、保護観察を解除するものとする。 第七十条 (保護観察の一時解除) 1 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、その改善更生に資すると認めるときは、期間を定めて、保護観察を一時的に解除することができる。 2 前項の規定により保護観察を一時的に解除されている保護観察処分少年については、第四十九条、第五十一条から第五十九条まで、第六十一条、第六十二条、第六十五条、第六十七条及び第六十八条の規定は、適用しない。 3 第一項の規定により保護観察を一時的に解除されている保護観察処分少年に対する第五十条及び第六十三条の規定の適用については、第五十条中「以下「一般遵守事項」という」とあるのは「第二号ロ及び第三号に掲げる事項を除く」と、同条第二号中「守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受ける」とあるのは「守る」と、同条第五号中「転居又は七日以上の旅行」とあるのは「転居」と、第六十三条第二項第二号中「遵守事項」とあるのは「第七十条第三項の規定により読み替えて適用される第五十条に掲げる事項」とする。 4 第一項の規定による処分があったときは、その処分を受けた保護観察処分少年について定められている特別遵守事項は、その処分と同時に取り消されたものとみなす。 5 保護観察所の長は、第一項の規定により保護観察を一時的に解除されている保護観察処分少年について、再び保護観察を実施する必要があると認めるときは、同項の規定による処分を取り消さなければならない。 6 前項の場合において、保護観察所の長は、保護観察処分少年が第一項の規定により保護観察を一時的に解除されている間に第三項の規定により読み替えて適用される第五十条に掲げる事項を遵守しなかったことを理由として、第六十七条第一項の規定による警告を発し、又は同条第二項の規定による申請をすることができない。     第三節 少年院仮退院者 第七十一条 (少年院への戻し収容の申請)  地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者が遵守事項を遵守しなかったと認めるときは、当該少年院仮退院者を少年院に送致した家庭裁判所に対し、これを少年院に戻して収容する旨の決定の申請をすることができる。ただし、二十三歳に達している少年院仮退院者については、少年院法第十一条第五項に規定する事由に該当すると認めるときに限る。 第七十二条 (少年院への戻し収容の決定) 1 前条の申請を受けた家庭裁判所は、当該申請に係る少年院仮退院者について、相当と認めるときは、これを少年院に戻して収容する旨の決定をすることができる。 2 家庭裁判所は、前項の決定をする場合において、二十三歳に満たない少年院仮退院者を二十歳を超えて少年院に収容する必要があると認めるときは、当該決定と同時に、その者が二十三歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めることができる。その者が既に二十歳に達しているときは、当該決定と同時に、二十三歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。 3 家庭裁判所は、二十三歳に達している少年院仮退院者について第一項の決定をするときは、当該決定と同時に、その者が二十六歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。 4 家庭裁判所は、第一項の決定に係る事件の審理に当たっては、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識を有する者及び保護観察所の長の意見を聴かなければならない。 5 前三項に定めるもののほか、第一項の決定に係る事件の手続は、その性質に反しない限り、少年の保護処分に係る事件の手続の例による。 第七十三条 (留置) 1 地方委員会は、第六十三条第二項又は第三項の引致状により引致された少年院仮退院者について、第七十一条の申出があり同条の規定による申請をするか否かに関する審理を開始するときは、当該少年院仮退院者を刑事施設又は少年鑑別所に留置することができる。 2 前項の規定による留置の期間は、引致すべき場所に引致された日から起算して十日以内とする。ただし、その期間中であっても、留置の必要がなくなったと認めるときは、直ちに少年院仮退院者を釈放しなければならない。 3 第一項の規定により留置されている少年院仮退院者について、第七十一条の規定による申請があったときは、前項の規定にかかわらず、当該申請に係る家庭裁判所からの決定の通知があるまでの間又は少年法第十七条第一項第二号の観護の措置がとられるまでの間、継続して留置することができる。ただし、留置の期間は、通じて二十日を超えることができない。 4 第一項の規定による留置及び第二項ただし書の規定による釈放に係る判断は、三人の委員をもって構成する合議体(第七十一条の規定による申請をするか否かに関する審理の開始後においては、当該審理を担当する合議体)で行う。ただし、急速を要するときは、あらかじめ地方委員会が指名する一人の委員で行うことができる。 5 第十三条、第二十三条第三項並びに第二十五条第一項及び第二項の規定は前項に規定する措置のための合議体又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は前項の合議体の議事について、それぞれ準用する。この場合において、第十三条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。 6 第一項の規定による留置については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。 第七十四条 (少年院仮退院者の退院を許す処分) 1 地方委員会は、少年院仮退院者について、保護観察所の長の申出があった場合において、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるとき(二十三歳を超える少年院仮退院者については、少年院法第十一条第五項に規定する事由に該当しなくなったと認めるときその他保護観察を継続する必要がなくなったと認めるとき)は、決定をもって、退院を許さなければならない。 2 第四十六条第二項の規定は、前項の決定について準用する。     第四節 仮釈放者 第七十五条 (仮釈放の取消し) 1 刑法第二十九条第一項の規定による仮釈放の取消しは、仮釈放者に対する保護観察をつかさどる保護観察所の所在地を管轄する地方委員会が、決定をもってするものとする。 2 刑法第二十九条第一項第四号に該当することを理由とする前項の決定は、保護観察所の長の申出によらなければならない。 3 刑事訴訟法第四百八十四条から第四百八十九条までの規定は、仮釈放を取り消された者の収容について適用があるものとする。 第七十六条 (留置) 1 地方委員会は、第六十三条第二項又は第三項の引致状により引致された仮釈放者について、刑法第二十九条第一項第一号から第三号までに該当する場合であって前条第一項の決定をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるとき、又は同条第二項の申出がありその審理を開始するときは、当該仮釈放者を刑事施設又は少年鑑別所に留置することができる。 2 前項の規定により仮釈放者が留置された場合において、その者の仮釈放が取り消されたときは、刑法第二十九条第二項の規定にかかわらず、その留置の日数は、刑期に算入するものとする。 3 第七十三条第二項及び第四項から第六項までの規定は、第一項の規定による留置について準用する。この場合において、同条第四項中「第七十一条の規定による申請」とあるのは、「第七十五条第一項の決定」と読み替えるものとする。 第七十七条 (保護観察の停止) 1 地方委員会は、保護観察所の長の申出により、仮釈放者の所在が判明しないため保護観察が実施できなくなったと認めるときは、決定をもって、保護観察を停止することができる。 2 前項の規定により保護観察を停止されている仮釈放者の所在が判明したときは、その所在の地を管轄する地方委員会は、直ちに、決定をもって、その停止を解かなければならない。 3 前項の決定は、急速を要するときは、第二十三条第一項の規定にかかわらず、一人の委員ですることができる。 4 第一項の規定により保護観察を停止されている仮釈放者が第六十三条第二項又は第三項の引致状により引致されたときは、第二項の決定があったものとみなす。 5 仮釈放者の刑期は、第一項の決定によってその進行を停止し、第二項の決定があった時からその進行を始める。 6 地方委員会は、仮釈放者が第一項の規定により保護観察を停止されている間に遵守事項を遵守しなかったことを理由として、仮釈放の取消しをすることができない。 7 地方委員会は、第一項の決定をした後、保護観察の停止の理由がなかったことが明らかになったときは、決定をもって、同項の決定を取り消さなければならない。 8 前項の規定により第一項の決定が取り消された場合における仮釈放者の刑期の計算については、第五項の規定は、適用しない。 第七十八条 (仮釈放者の不定期刑の終了) 1 地方委員会は、不定期刑に処せられ、仮釈放を許されている者であって、仮釈放前又は仮釈放中にその刑の短期が経過したものについて、保護観察所の長の申出により、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、少年法第五十九条第二項の規定にかかわらず、決定をもって、刑の執行を受け終わったものとしなければならない。 2 第四十六条第二項の規定は、前項の決定について準用する。     第五節 保護観察付執行猶予者 第七十九条 (検察官への申出)  保護観察所の長は、保護観察付執行猶予者について、刑法第二十六条の二第二号の規定により刑の執行猶予の言渡しを取り消すべきものと認めるときは、刑事訴訟法第三百四十九条第一項に規定する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所に対応する検察庁の検察官に対し、書面で、同条第二項に規定する申出をしなければならない。 第八十条 (留置) 1 保護観察所の長は、第六十三条第二項の引致状により引致した保護観察付執行猶予者について、前条の申出をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるときは、当該保護観察付執行猶予者を刑事施設又は少年鑑別所に留置することができる。 2 前項の規定による留置の期間は、引致すべき場所に引致した日から起算して十日以内とする。ただし、その期間中であっても、前条の申出をする必要がなくなったとき、検察官が刑事訴訟法第三百四十九条第一項の請求をしないことが明らかになったときその他留置の必要がなくなったときは、直ちに保護観察付執行猶予者を釈放しなければならない。 3 第一項の規定により留置されている保護観察付執行猶予者について、刑事訴訟法第三百四十九条第一項の請求があったときは、前項の規定にかかわらず、同法第三百四十九条の二第一項の決定の告知があるまでの間、継続して留置することができる。ただし、留置の期間は、通じて二十日を超えることができない。 4 刑事訴訟法第三百四十九条の二第二項の規定による口頭弁論の請求があったときは、裁判所は、決定をもって、十日間に限り、前項ただし書の期間を延長することができる。この場合において、その決定の告知については、同法による決定の告知の例による。 5 第三項に規定する決定が保護観察付執行猶予者の刑の執行猶予の言渡しを取り消すものであるときは、同項の規定にかかわらず、その決定が確定するまでの間、その者を継続して留置することができる。 6 第一項の規定により保護観察付執行猶予者が留置された場合において、その刑の執行猶予の言渡しが取り消されたときは、その留置の日数は、刑期に算入するものとする。 7 第七十三条第六項の規定は、第一項の規定による留置について準用する。 第八十一条 (保護観察の仮解除) 1 刑法第二十五条の二第二項の規定による保護観察を仮に解除する処分は、地方委員会が、保護観察所の長の申出により、決定をもってするものとする。 2 刑法第二十五条の二第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者については、第四十九条、第五十一条から第五十八条まで、第六十一条、第六十二条、第六十五条、第七十九条及び前条の規定は、適用しない。 3 刑法第二十五条の二第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者に対する第五十条及び第六十三条の規定の適用については、第五十条中「以下「一般遵守事項」という」とあるのは「第二号ロ及び第三号に掲げる事項を除く」と、同条第二号中「守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受ける」とあるのは「守る」と、同条第五号中「転居又は七日以上の旅行」とあるのは「転居」と、第六十三条第二項第二号中「遵守事項」とあるのは「第八十一条第三項の規定により読み替えて適用される第五十条に掲げる事項」とする。 4 第一項に規定する処分があったときは、その処分を受けた保護観察付執行猶予者について定められている特別遵守事項は、その処分と同時に取り消されたものとみなす。 5 地方委員会は、刑法第二十五条の二第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者について、保護観察所の長の申出があった場合において、その行状にかんがみ再び保護観察を実施する必要があると認めるときは、決定をもって、同項の規定による処分を取り消さなければならない。    第四章 生活環境の調整 第八十二条 (収容中の者に対する生活環境の調整)  保護観察所の長は、刑の執行のため刑事施設に収容されている者又は刑若しくは保護処分の執行のため少年院に収容されている者について、その社会復帰を円滑にするため必要があると認めるときは、その者の家族その他の関係人を訪問して協力を求めることその他の方法により、釈放後の住居、就業先その他の生活環境の調整を行うものとする。 第八十三条 (保護観察付執行猶予の裁判確定前の生活環境の調整)  保護観察所の長は、刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者について、保護観察を円滑に開始するため必要があると認めるときは、その者の同意を得て、前条に規定する方法により、その者の住居、就業先その他の生活環境の調整を行うことができる。 第八十四条 (準用)  第六十一条第一項の規定は、前二条の規定による措置について準用する。    第五章 更生緊急保護等     第一節 更生緊急保護 第八十五条 (更生緊急保護) 1 この節において「更生緊急保護」とは、次に掲げる者が、刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後、親族からの援助を受けることができず、若しくは公共の衛生福祉に関する機関その他の機関から医療、宿泊、職業その他の保護を受けることができない場合又はこれらの援助若しくは保護のみによっては改善更生することができないと認められる場合に、緊急に、その者に対し、金品を給与し、又は貸与し、宿泊場所を供与し、宿泊場所への帰住、医療、療養、就職又は教養訓練を助け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い、生活環境の改善又は調整を図ること等により、その者が進んで法律を守る善良な社会の一員となることを援護し、その速やかな改善更生を保護することをいう。  一 懲役、禁錮又は拘留の刑の執行を終わった者  二 懲役、禁錮又は拘留の刑の執行の免除を得た者  三 懲役又は禁錮の刑の執行猶予の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者  四 前号に掲げる者のほか、懲役又は禁錮の刑の執行猶予の言渡しを受け、保護観察に付されなかった者  五 訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受けた者  六 罰金又は科料の言渡しを受けた者  七 労役場から出場し、又は仮出場を許された者  八 少年院から退院し、又は仮退院を許された者(保護観察に付されている者を除く。) 2 更生緊急保護は、その対象となる者の改善更生のために必要な限度で、国の責任において、行うものとする。 3 更生緊急保護は、保護観察所の長が、自ら行い、又は更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うものとする。 4 更生緊急保護は、その対象となる者が刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後六月を超えない範囲内において、その意思に反しない場合に限り、行うものとする。ただし、その者の改善更生を保護するため特に必要があると認められるときは、更に六月を超えない範囲内において、これを行うことができる。 5 更生緊急保護を行うに当たっては、その対象となる者が公共の衛生福祉に関する機関その他の機関から必要な保護を受けることができるようあっせんするとともに、更生緊急保護の効率化に努めて、その期間の短縮と費用の節減を図らなければならない。 6 更生緊急保護に関し職業のあっせんの必要があると認められるときは、公共職業安定所は、更生緊急保護を行う者の協力を得て、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の規定に基づき、更生緊急保護の対象となる者の能力に適当な職業をあっせんすることに努めるものとする。 第八十六条 (更生緊急保護の開始等) 1 更生緊急保護は、前条第一項各号に掲げる者の申出があった場合において、保護観察所の長がその必要があると認めたときに限り、行うものとする。 2 検察官、刑事施設の長又は少年院の長は、前条第一項各号に掲げる者について、刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解く場合において、必要があると認めるときは、その者に対し、この節に定める更生緊急保護の制度及び申出の手続について教示しなければならない。 3 保護観察所の長は、更生緊急保護を行う必要があるか否かを判断するに当たっては、その申出をした者の刑事上の手続に関与した検察官又はその者が収容されていた刑事施設(労役場に留置されていた場合には、当該労役場が附置された刑事施設)の長若しくは少年院の長の意見を聴かなければならない。ただし、仮釈放の期間の満了によって前条第一項第一号に該当した者又は仮退院の終了により同項第八号に該当した者については、この限りでない。 第八十七条 (費用の支弁) 1 国は、法務大臣が財務大臣と協議して定める基準に従い、第八十五条第三項の規定による委託によって生ずる費用を支弁する。 2 前項に規定する委託は、同項の規定により国が支弁する金額が予算の金額を超えない範囲内においてしなければならない。     第二節 刑執行停止中の者に対する措置 第八十八条  保護観察所の長は、刑事訴訟法第四百八十条又は第四百八十二条の規定により刑の執行を停止されている者について、検察官の請求があったときは、その者に対し、第五十七条第一項(第二号及び第三号を除く。)、第五十八条、第六十一条及び第六十二条の規定の例により、適当と認める指導監督、補導援護並びに応急の救護及びその援護の措置をとることができる。    第六章 恩赦の申出 第八十九条 (恩赦の申出)  恩赦法(昭和二十二年法律第二十号)第十二条に規定する審査会の申出は、法務大臣に対してするものとする。 第九十条 (申出のための調査等) 1 審査会は、前条の申出をする場合には、あらかじめ、申出の対象となるべき者の性格、行状、違法な行為をするおそれの有無、その者に対する社会の感情その他の事項について、必要な調査を行わなければならない。 2 審査会は、刑事施設若しくは少年院に収容されている者又は労役場に留置されている者について、特赦、減刑又は刑の執行の免除の申出をする場合には、その者が、社会の安全及び秩序を脅かすことなく釈放されるに適するかどうかを考慮しなければならない。    第七章 審査請求等     第一節 行政手続法の適用除外 第九十一条  この法律の規定による処分及び行政指導については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章から第四章までの規定は、適用しない。     第二節 審査請求 第九十二条 (審査請求)  この法律の規定により地方委員会が決定をもってした処分に不服がある者は、審査会に対し、行政不服審査法による審査請求をすることができる。 第九十三条 (審査請求書の提出) 1 刑事施設に収容され、若しくは労役場に留置されている者又は少年院に収容されている者の審査請求は、審査請求書を当該刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設。以下この条において同じ。)の長又は少年院の長に提出してすることができる。 2 刑事施設の長又は少年院の長は、前項の規定により審査請求書の提出を受けたときは、直ちに、審査請求書の正本を審査会に、副本を地方委員会に送付しなければならない。 3 第一項の場合における行政不服審査法第十四条の規定による審査請求の期間の計算については、刑事施設の長又は少年院の長に審査請求書を提出した時に審査請求があったものとみなす。 第九十四条 (執行停止)  審査会に対する審査請求に関する行政不服審査法第三十四条第三項の規定の適用については、同項本文中「、処分庁の意見を聴取したうえ」とあるのは「又は職権で」と、同項ただし書中「処分の効力、処分の執行又は手続の続行」とあるのは「処分の執行」とする。 第九十五条 (裁決をすべき期間)  審査会は、審査請求を受理した日から六十日以内に裁決をしなければならない。 第九十六条 (審査請求と訴訟との関係)  この法律の規定により地方委員会が決定をもってした処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。    第八章 雑則 第九十七条 (記録の保存等) 1 審査会は特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除及び特定の者に対する復権についてした申出に関する記録を、地方委員会はこの法律の規定により決定をもってすることとされている処分に係る審理及び決定に関する記録を、それぞれ、政令で定めるところにより保存しなければならない。 2 審査会及び地方委員会は、前項の記録の閲覧を求める者があるときは、これをその者の閲覧に供さなければならない。ただし、同項の申出若しくは審理の対象とされた者の改善更生を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害するおそれがあるときは、閲覧を拒むことができる。 第九十八条 (費用の徴収) 1 保護観察所の長は、第六十一条第二項(第八十八条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による委託及び第六十二条第二項(第八十八条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による応急の救護に要した費用並びに第八十七条第一項の費用を、期限を指定して、その費用を要した措置を受けた者又はその扶養義務者から徴収しなければならない。ただし、これらの者が、その費用を負担することができないと認めるときは、この限りでない。 2 前項の規定による費用の徴収は、徴収されるべき者の居住地又は財産所在地の市町村(特別区を含む。以下同じ。)に嘱託することができる。 3 政府は、前項の規定により、市町村に対し費用の徴収を嘱託した場合においては、その徴収金額の百分の四に相当する金額を、その市町村に交付しなければならない。 4 第二項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。 第九十九条 (省令への委任)  この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、法務省令で定める。    附 則 第一条 (施行期日)  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。  一 附則第十六条、第十九条、第二十条及び第二十四条の規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日  二 第五十九条、第六十七条及び第七十条第六項並びに附則第十一条第二項、第十四条及び第二十八条の規定 この法律の施行の日又は少年法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第六十八号。附則第十一条において「少年法等一部改正法」という。)の施行の日のいずれか遅い日