#この行政機関が行う政策の評価に関する法律の翻訳は、平成十五年法律第二十三号までの改正(平成15年4月9日施行)について、「法令用語日英標準対訳辞書」(平成18年3月版)に準拠して作成したものです。 なお、この法令の翻訳は公定訳ではありません。法的効力を有するのは日本語の法令自体であり、翻訳はあくまでその理解を助けるための参考資料です。この翻訳の利用に伴って発生した問題について、一切の責任を負いかねますので、法律上の問題に関しては、官報に掲載された日本語の法令を参照してください。 行政機関が行う政策の評価に関する法律 (平成十三年法律第八十六号)   第一章 総則 第一条 (目的)  この法律は、行政機関が行う政策の評価に関する基本的事項等を定めることにより、政策の評価の客観的かつ厳格な実施を推進しその結果の政策への適切な反映を図るとともに、政策の評価に関する情報を公表し、もって効果的かつ効率的な行政の推進に資するとともに、政府の有するその諸活動について国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。 第二条 (定義) 1 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。  一 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第三項に規定する事務をつかさどる機関たる内閣府(次号に掲げる機関を除く。)  二 宮内庁及び内閣府設置法第四十九条第一項に規定する機関(国家公安委員会にあっては、警察庁を除く。)並びに警察庁  三 各省(総務省にあっては、次号に掲げる機関を除く。)  四 公害等調整委員会 2 この法律において「政策」とは、行政機関が、その任務又は所掌事務の範囲内において、一定の行政目的を実現するために企画及び立案をする行政上の一連の行為についての方針、方策その他これらに類するものをいう。 第三条 (政策評価の在り方) 1 行政機関は、その所掌に係る政策について、適時に、その政策効果(当該政策に基づき実施し、又は実施しようとしている行政上の一連の行為が国民生活及び社会経済に及ぼし、又は及ぼすことが見込まれる影響をいう。以下同じ。)を把握し、これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他当該政策の特性に応じて必要な観点から、自ら評価するとともに、その評価の結果を当該政策に適切に反映させなければならない。 2 前項の規定に基づく評価(以下「政策評価」という。)は、その客観的かつ厳格な実施の確保を図るため、次に掲げるところにより、行われなければならない。  一 政策効果は、政策の特性に応じた合理的な手法を用い、できる限り定量的に把握すること。  二 政策の特性に応じて学識経験を有する者の知見の活用を図ること。 第四条 (政策評価の結果の取扱い)  政府は、政策評価の結果の取扱いについては、前条第一項に定めるところによるほか、予算の作成及び二以上の行政機関の所掌に関係する政策であってその総合的な推進を図ることが必要なものの企画及び立案に当たりその適切な活用を図るように努めなければならない。   第二章 政策評価に関する基本方針 第五条 1 政府は、政策評価の計画的かつ着実な推進を図るため、政策評価に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 2 基本方針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の基本計画の指針となるべきものを定めるものとする。  一 政策評価の実施に関する基本的な方針  二 政策評価の観点に関する基本的な事項  三 政策効果の把握に関する基本的な事項  四 事前評価(政策を決定する前に行う政策評価をいう。以下同じ。)の実施に関する基本的な事項  五 事後評価(政策を決定した後に行う政策評価をいう。以下同じ。)の実施に関する基本的な事項 # 「事前評価」及び「事後評価」は、標準対訳辞書(平成18年3月版)においては、それぞれ「assessment in advance」、「post facto assessment」とされているが、本法中「評価」は全て「evaluation」に統一することとしたため、「事前評価」は「ex-ante evaluation」、「事後評価」は「ex-post evaluation」を使用することとした。  六 学識経験を有する者の知見の活用に関する基本的な事項  七 政策評価の結果の政策への反映に関する基本的な事項  八 インターネットの利用その他の方法による政策評価に関する情報の公表に関する基本的な事項  九 その他政策評価の実施に関する重要事項 3 基本方針においては、前項に掲げる事項のほか、第二十条から第二十二条までの規定に基づき実施し、又は実施しようとしている措置その他政策評価を円滑かつ着実に実施するために必要な措置に関する事項を定めるものとする。 4 総務大臣は、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴いて、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 5 総務大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。 6 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。   第三章 行政機関が行う政策評価 第六条 (基本計画) 1 行政機関の長(行政機関が、公正取引委員会、国家公安委員会又は公害等調整委員会である場合にあっては、それぞれ公正取引委員会、国家公安委員会又は公害等調整委員会。以下同じ。)は、基本方針に基づき、当該行政機関の所掌に係る政策について、三年以上五年以下の期間ごとに、政策評価に関する基本計画(以下「基本計画」という)を定めなければならない。 2 基本計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。  一 計画期間  二 政策評価の実施に関する方針  三 政策評価の観点に関する事項  四 政策効果の把握に関する事項  五 事前評価の実施に関する事項  六 計画期間内において事後評価の対象としようとする政策その他事後評価の実施に関する事項  七 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項  八 政策評価の結果の政策への反映に関する事項  九 インターネットの利用その他の方法による政策評価に関する情報の公表に関する事項  十 政策評価の実施体制に関する事項  十一 その他政策評価の実施に関し必要な事項 3 行政機関の長は、前項第六号の政策としては、当該行政機関がその任務を達成するために社会経済情勢等に応じて実現すべき主要な行政目的に係る政策を定めるものとする。 4 行政機関の長は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを総務大臣に通知するとともに、公表しなければならない。 5 前二項の規定は、基本計画の変更について準用する。 第七条 (事後評価の実施計画) 1 行政機関の長は、一年ごとに、事後評価の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を定めなければならない。 2 実施計画においては、計画期間並びに次に掲げる政策及び当該政策ごとの具体的な事後評価の方法を定めなければならない。  一 前条第二項第六号の政策のうち、計画期間内において事後評価の対象としようとする政策  二 計画期間内において次に掲げる要件のいずれかに該当する政策   イ 当該政策が決定されたときから、当該政策の特性に応じて五年以上十年以内において政令で定める期間を経過するまでの間に、当該政策がその実現を目指した効果の発揮のために不可欠な諸活動が行われていないこと。   ロ 当該政策が決定されたときから、当該政策の特性に応じてイに規定する政令で定める期間に五年以上十年以内において政令で定める期間を加えた期間が経過したときに、当該政策がその実現を目指した効果が発揮されていないこと。  三 前二号に掲げるもののほか、計画期間内において事後評価の対象としようとする政策 3 行政機関の長は、実施計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを総務大臣に通知するとともに、公表しなければならない。 第八条 (事後評価の実施)  行政機関は、基本計画及び実施計画に基づき、事後評価を行わなければならない。 第九条 (事前評価の実施)  行政機関は、その所掌に関し、次に掲げる要件に該当する政策として個々の研究開発、公共事業及び政府開発援助を実施することを目的とする政策その他の政策のうち政令で定めるものを決定しようとするときは、事前評価を行わなければならない。  一 当該政策に基づく行政上の一連の行為の実施により国民生活若しくは社会経済に相当程度の影響を及ぼすこと又は当該政策がその実現を目指す効果を発揮することができることとなるまでに多額の費用を要することが見込まれること。  二 事前評価に必要な政策効果の把握の手法その他の事前評価の方法が開発されていること。 第十条 (評価書の作成等) 1 行政機関の長は、政策評価を行ったときは、次に掲げる事項を記載した評価書を作成しなければならない。  一 政策評価の対象とした政策  二 政策評価を担当した部局又は機関及びこれを実施した時期  三 政策評価の観点  四 政策効果の把握の手法及びその結果  五 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項  六 政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報に関する事項  七 政策評価の結果 2 行政機関の長は、前項の規定により評価書を作成したときは、速やかに、これを総務大臣に送付するとともに、当該評価書及びその要旨を公表しなければならない。 第十一条 (政策への反映状況の通知及び公表)  行政機関の長は、少なくとも毎年一回、当該行政機関における政策評価の結果の政策への反映状況について、総務大臣に通知するとともに、公表しなければならない。   第四章 総務省が行う政策の評価 第十二条 (総務省が行う政策の評価) 1 総務省は、二以上の行政機関に共通するそれぞれの政策であってその政府全体としての統一性を確保する見地から評価する必要があると認めるもの、又は二以上の行政機関の所掌に関係する政策であってその総合的な推進を図る見地から評価する必要があると認めるものについて、統一性又は総合性を確保するための評価を行うものとする。 2 総務省は、行政機関の政策評価の実施状況を踏まえ、当該行政機関により改めて政策評価が行われる必要がある場合若しくは社会経済情勢の変化等に的確に対応するために当該行政機関により政策評価が行われる必要がある場合において当該行政機関によりその実施が確保されないと認めるとき、又は行政機関から要請があった場合において当該行政機関と共同して評価を行う必要があると認めるときは、当該行政機関の政策について、政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価を行うものとする。 3 前二項の規定による評価は、その対象とする政策について、その政策効果を把握し、これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他政策の特性に応じて必要な観点から、行うものとする。 第十三条 (総務省が行う政策の評価に関する計画) 1 総務大臣は、毎年度、当該年度以降の三年間についての前条第一項及び第二項の規定による評価に関する計画を定めなければならない。 2 前項の計画においては、次に掲げる事項を定めなければならない。  一 前条第一項及び第二項の規定による評価の実施に関する基本的な方針  二 計画期間内において前条第一項の規定による評価の対象としようとする政策  三 当該年度において前条第一項の規定による評価の対象としようとする政策  四 その他前条第一項及び第二項の規定による評価の実施に関する重要事項 3 総務大臣は、第一項の計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 第十四条  総務省は、前条第一項の計画に基づき、第十二条第一項及び第二項の規定による評価を実施しなければならない。 第十五条 (資料の提出の要求及び調査等) 1 総務大臣は、第十二条第一項及び第二項の規定による評価を行うため必要な範囲において、行政機関の長に対し資料の提出及び説明を求め、又は行政機関の業務について実地に調査することができる。 2 総務大臣は、第十二条第一項及び第二項の規定による評価に関連して、次に掲げる業務について、書面により又は実地に調査することができる。この場合において、調査を受けるものは、その調査を拒んではならない。  一 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)の業務  二 法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人(総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けない法人を除く。)の業務  三 特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人(その資本金の二分の一以上が国からの出資による法人であって、国の補助に係る業務を行うものに限る。)の業務  四 国の委任又は補助に係る業務 3 総務大臣は、第十二条第一項及び第二項の規定による評価の目的を達成するために必要な最小限度において、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務に該当する地方公共団体の業務(行政機関の業務と一体として把握される必要があるものに限り、前項第四号に掲げる業務に該当するものを除く。)について、書面により又は実地に調査することができる。この場合においては、あらかじめ、関係する地方公共団体の意見を聴くものとする。 4 総務大臣は、第十二条第一項及び第二項の規定による評価の実施上の必要により、公私の団体その他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し、協力を求めることができる。 第十六条 (評価書の作成等) 1 総務大臣は、第十二条第一項又は第二項の規定による評価を行ったときは、第十条第一項各号に掲げる事項を記載した評価書を作成しなければならない。 2 総務大臣は、前項の規定により評価書を作成したときは、速やかに、これに必要な意見を付して関係する行政機関の長に送付するとともに、当該評価書及びその要旨並びに当該意見の内容を公表しなければならない。 第十七条 (勧告等) 1 総務大臣は、第十二条第一項又は第二項の規定による評価の結果必要があると認めるときは、関係する行政機関の長に対し、当該評価の結果を政策に反映させるために必要な措置をとるべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を公表しなければならない。 2 総務大臣は、前項の規定による勧告をしたときは、当該行政機関の長に対し、その勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。 3 総務大臣は、第十二条第一項又は第二項の規定による評価の結果を政策に反映させるため特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、当該評価の結果の政策への反映について内閣法(昭和二十二年法律第五号)第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申するものとする。 第十八条 (評価及び監視との連携の確保)  総務大臣は、第十二条第一項又は第二項の規定による評価に際し、これと総務省設置法第四条第十八号の規定による評価及び監視との連携を確保するように努めなければならない。   第五章 雑則 第十九条 (国会への報告)  政府は、毎年、政策評価及び第十二条第一項又は第二項の規定による評価(以下「政策評価等」という。)の実施状況並びにこれらの結果の政策への反映状況に関する報告書を作成し、これを国会に提出するとともに、公表しなければならない。 第二十条 (政策評価等の方法に関する調査研究の推進等)  政府は、政策効果の把握の手法その他政策評価等の方法に関する調査、研究及び開発を推進するとともに、政策評価等に従事する職員の人材の確保及び資質の向上のために必要な研修その他の措置を講じなければならない。 第二十一条 (政策評価等に関する情報の活用)  総務大臣は、政策評価等の効率的かつ円滑な実施に資するよう、行政機関相互間における政策評価等の実施に必要な情報の活用の促進に関し必要な措置を講ずるものとする。 第二十二条 (所在に関する情報の提供)  総務大臣は、政策評価の結果その他の政策評価等に関する情報を入手しようとする者の利便を図るため、その所在に関する情報の提供に関し必要な措置を講ずるものとする。   附則(抄) 第一条 (施行期日)  この法律は、平成十四年四月一日から施行する。ただし、第五条の規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 第二条 (検討)  政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 第三条 (事後評価の実施計画に関する経過措置)  この法律の施行後第七条第一項の規定により国家公安委員会、金融庁長官又は警察庁長官が最初に定める実施計画についての同項の規定の適用については、同項中「一年ごとに」とあるのは、「一年未満で、国家公安委員会、金融庁長官又は警察庁長官の定める期間を計画期間として」とする。 第四条 (事後評価の実施に関する経過措置)  第七条第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行前に決定された政策であって、同号イ又はロに規定する期間がこの法律の施行の日以後に経過したものについても、適用する。   附則(平成十五年法律第二十三号)(抄) 第一条 (施行期日)  この法律は、公布の日から施行する。 第三条  前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。